入試案内

教授
桜井 貴康
Takayasu Sakurai


研究分野
先端融合VLSIシステム設計
研究内容
ある銀行では飛行機出張をやめ、大規模集積回路(VLSI)でできたテレビ会議にすることによってCO2削減を達成しました。このようにVLSIはエコな持続的社会を実現する上でも大変重要です。当研究室ではVLSI設計の研究を行っています。研究テーマは集積回路システムに関係あることすべてですので、デジタルプロセッサ、アナログ、メモリなど興味あることには何でもチャレンジできます。中でも、現在注目の環境にやさしい超低電力VLSI回路設計で世界的に有名で、VLSIのオリンピックを言われるISSCC(国際固体回路学会)では歴代30件以上の論文を発表するなど世界をリードしています。産業界を経験したスタッフなどもいて、実際の社会でも通用する研究を目指しています。また、高宮研究室と緊密に連携して研究室を運営していますので、そちらも参照してください。

人々の生活に溶け込むVLSI

 半導体チップは情報ネットワークや携帯電話、テレビやオーディオなど現代の情報社会の基幹技術となっています。しかし近年、情報処理だけでなく、もっと物理的な世界にも応用が始まっています。環境全般、野山、街角、交通機関、ホーム、ボディなどにも半導体チップが入り込み安心・安全・豊かな生活を支えるために人々の生活に浸透してゆこうとしています。皆さんは何個の半導体チップを毎日使っているでしょう。もし、自動車を持っていればその中には100個を超えるプロセッサが使われています。このように知らないうちに多くのチップを使う社会になってきました。このように、巨大な数のチップが使われ始めたので、今まで以上に低電力性が求められるとともに、エネルギーをどのようにチップに与えるか、あるいは自然界とのインターフェイスをどのようにとって行くかなど、新しいチャレンジが一杯でてきました。これらの新天地では、新しいVLSI設計の考え方が必要となっています。

低消費電力で高速な三次元VLSIシステム(図1)

 トランジスタの集積数やモバイルへの応用が増えるにつれて消費電力を抑える設計技術の重要性が加速度的に増しています。消費電力を抑える切り札は、トランジスタというスイッチをなるべく密集させて、相互の通信エネルギーを低減することが肝要です。二次元ではトランジスタの微細化でしたが、このところ、チップをスタック(積層)することによってトランジスタの集積密度を上げる三次元集積システムへの取り組みが始まりました。このような三次元積層システムではチップ間の通信が必要ですが、無線でチップ間接続ができないかを考えました。そして、世界に先駆けて、ミクロン距離の無線接続を実証し注目されています。このような非接触チップ間コネクト技術は、スーパーコンピュータやテストへの応用がさかんに研究され始めました。最近では無線給電による電力のチップ間伝送の研究を進めています。実現すれば完全にワイヤレスなチップ間接続が可能となり、自由に気ままにチップを使えるインフラが整います。 微細化されたトランジスタはスイッチを切ってももれ電流(リーク)が流れます。また、微細なトランジスタでは製造バラツキも大きくなってきて、このままでは設計どおりのハードウェアができなくなってしまいます。細粒度・分散型の電源電圧やしきい値電圧の制御方式はバラツキがある素子を使ってもシステムを正常動作させる切り札です。このような集積システムはあたかもヘルスケアをしながら自分自身で最適動作点を探してゆく適応型のチップです。 そのほか、1psの分解能で電源電圧や信号の波形を観測できるオンチップオシロスコープを開発し、今まで見られなかったチップ上の高速で微細な振る舞いがわかるようになってきましたし、超低電力で注目されるウルトラ・ワイド・バンド(UWB)通信方式を実現するチップの研究も行っています。


図1 自分で自分の「健康」状態を管理しながら動作する賢い三次元VLSIシステム

有機トランジスタ集積回路(図2)

 現在の電子回路の基本はシリコンで作られた集積回路です。しかし、コストが高く大面積のセンサやアクチュエータを作ることは困難で、また自在に曲げることはできないという弱点もあります。そこで、炭素と水素を基調にした有機トランジスタを柔軟性をもつプラスチックシートに作りこんだ有機トランジスタ集積回路の研究を行っています。今までには、将来ロボットの電子人工皮膚、曲がった表面からも画像を取り込める光学スキャナ、プラスチックMEMS(マイクロマシン)と組み合わせたシート型点字シート、コードがなくてもパソコンや携帯が動く無線電力伝送シート、置けばつながる通信シートなどの研究を行ってきました。これらのシリコンなどの無機材料とプラスチックなどの有機材料を組み合わせた融合型の集積回路は新しい可能性を拓きますが、世界でも例を見ない当研究室の成果に注目が集まっています。


図2 LSIと異種デバイスを融合させた先端的な大面積エレクトロニクス

学生へのメッセージ

 研究室には年に数回の高価なチップ試作ができる設計環境と、微細チップを測定する各種の装置などのインフラが整っていますので、他ではできないものを作ってみることができます(図3)。もちろん、理論が面白いと思えば理論的な研究もできます。スキルと知識、そして創造力を鍛えてみませんか。


図3 自分で設計したVLSIを測定しているところ

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